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ASTON MARTIN V8 VANTAGE 診断・修理 (DSCランプ点灯)

ASTON MARTIN V8 VANTAGE 診断・修理 (DSCランプ点灯)になります。

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DSCの警告メッセージが出たということでご入庫。
入庫時には点灯していませんでしたが、アストンマーティン専用テスタにて診断をすると、
故障のログが残っていました。

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故障コードの情報を元に、アストンマーティン専用テスタのデータロガー機能にて、
アクセルペダルの信号電圧を読み出し。
アクセルペダルから出力される電圧が一部出力されていないことがわかりました。
(上記写真表2段目の電圧が0Vでは異常で規定値は0.5V~3.5Vとなります。)

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エンジンコントロールユニットへの入力信号を測定する為、
アストンマーティンの専用工具である”ジャンクションボックス”を使用します。

ジャンクションボックスは、車両とエンジンコンピューターの間に割り込ませることで、
各信号電圧をサーキットテスタなどを使用し測定することができるツールになります。

実際に測定すると、先ほど異常な電圧だった該当箇所の出力値が出たり出なかったりと不安定であることを確認しました。

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アクセルペダルとエンジンコントロールユニット間のハーネスの異常も考えられる為、
ハーネスの抵抗値を測定しましたが、異常はありませんでした。

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しかし、抵抗値を測定しようとした時に、エンジンコントロールユニットのカプラーの状態を確認すると、
該当箇所の端子の接触を強める為、折り返しの形状となっているのですが、折り返し部が倒れてしまい、
接触不良を起こしやすい状態になっておりました。

カプラーを分解し、端子を清掃・修正しました。

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修正後は、ジャンクションボックスを取り外し、エンジンコントロールユニットを復元します。

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復元後、再度、データロガー機能にて、出力値を確認すると、
既定の電圧が出力され、DSCのエラーも入力されなくなり、
DSCの警告の修理は完了しました。

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また、修理の過程でアクセルペダルとスロットルの開度を確認すると、
アクセルペダルを最後まで踏んでも最大値になっていないことを確認しました。

初期のV8 Vantageは、この症状が起きている場合が多く、
品番変更されたアクセルペダルを取り付けることで、車両本来のポテンシャルを引き出すことができます。

写真をみていただくとわかる通り、アクセルペダル自体の構造も大きく変わり対策品となっているのがわかります。
※写真右が新しいアクセルペダルになります。

今回は、お客様に状態をお伝えし、アクセルペダルの交換もご用命いただきましたので、
アクセルペダルを交換させていただきました。

交換後は、今まで使っていた範囲の先まで使えるようになり、
本来のポテンシャルを取り戻したことにより、
レスポンスの良いエンジンフィールのお車となりました。

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最後にロードテストを行い、故障コードが再入力しないことを確認。

お客様の元へお車をお返しさせていただきました。

この度もご依頼いただき誠にありがとうございました。